作品実例集>その他のテーブル>三日月ローテーブル OT1011
とってもユニークな三日月型のローテーブルです
お客さまたってのご要望にお応えすべくデザインしました
最初にお電話でお話をいただいたときは、正直なところ、電話口で絶句してしまいました^_^;
ミカヅキガタ ですか・・?
ともあれ、一度直接お話を聞かせてもらえますか?
ということで、ご自宅へ伺いました
ご近所だったのが幸いでした
お客様は、茶のお点前を嗜まれる方です。
茶会をする際に、待合に置く調度品として仕立てたい・・
待合にて、お部屋の風景として愛でるのが主であり、実際にテーブルとして使うことは殆どないので実用性はあまり必要ないとのことです
次に、なぜ三日月なのかということなのですが、太陽と月、そして雲を待合の中に表現したいとのこと・・
太陽は天井にある照明、雲は座布団 となると、月はテーブルで ということになるのですね なるほど
そのようなお話を熱く語っていただきましたので、最初はかなり腰が引けていた私もだんだんその情熱にうたれて、その気になってきました
そうだ、そんなテーブルは市販品では絶対に手に入らない
このような時こそ、手作り家具屋の面目躍如ではないか
俄然、使命感が湧いてきたのです
三日月の浮遊感を表現するために、脚まわりはこのような木組みとしました
一本脚で三日月を支え、対地部分は木を十字に組み合わせた構造です
正直なところ、テーブルとしての実用性は殆どありません。
ご覧のとおり、非常に安定性が悪く、不用意に手をつくと簡単にひっくり返ります
また、一本の脚のみで支える構造としていますので、強度的にも十分ではなく、端っこを触るとグラグラしたりします
でも・・・ それでいいのです
大事なことは、待合に一つの小宇宙を作るということ
そのためには、三日月が宙にふわりと浮かんでいる・・ と感じられるようにデザインしなければなりません
実用性、強度を顧みることなく、この浮かんだ感じのみを第一としてお客様との共同作業によって創り上げたデザインです
見る角度によって、様々に表情を変えるテーブルになりました
実用品とは言えない
しかし、それを面白いと思い、そこに茶会亭主の美意識を感じることが余裕であり、遊びでもあるのではないか?
私はお茶を嗜むことはしませんが、お客様のお話を聞くに連れ、そのように思ったものでした
実用品を作るという工房ポリシーに照らして対極にあるような作品となり、当初は葛藤もあったのですが、しかし、納品時のお客様の満面の笑みに接し、やはり作ってよかった と、しみじみ思いました
きっと、茶会でも話題になっていることでしょう